せかうな

世界で一番うなぎがうまい

Extreme Hearts 最終回感想 エクハに感謝とその先の「大好き」を叫ぶ

はじめに

exhearts.com

何かに夢中になるという感覚は本来こういうものなのかもしれない。「この部分の動きがよく描かれている」と技術の話が先にくるでもなく、「このキャラとこのキャラの関係が良いのである」というような読み解きをするでもなく、ただ得も言われぬ興奮がそれらを追い越して先に現れるあの感覚。

振り返ってみると、当初はその世界観を一発では理解できていなかったと思う。日常に溶け込むハイパースポーツ、プレイヤーロボットの存在に代表される独特な設定。そしてスポーツで結果を出すことによって得られるパフォーマンスの権利などである。とはいえ最終回を迎えた今でもそれらが理解できているとは思っていないのだけれど、ただ一話を見た段階で少なくともこのアニメは嫌いじゃないなと思ったことは確かだった。

細かい部分も含め大好きな部分は多数あるのだけれど、最終回のライブシーンは最も注目すべきであるのは揺るがないのでそこに焦点を絞る。

陽和がその涙を見せるまで

陽和の泣きが入る部分。まずは微妙な声の震えが起こり、次に涙を抑えているのかそれともただ真剣なのかともとれる表情をみせ、その後声の震えは徐々に大きくなり、最後には涙が目に浮かんでくることでその状況を自覚する。 この一連の流れが、この先で繰り広げられる "ひより劇場" へ自然と視聴者を誘うような導入となっている。 あれ?と思った直後からじわじわと観客に気づかせてくる部分のタイミングとバランスがうまい具合にマッチしている。 ただ別にそんなことは後付けの説明であって、

「え、ひよりんの声震えてる?え、泣いてる???泣いてるじゃん!!!ひよりいいいいいいいい!!!」

実際のところはこれだった。

メンバーのフォローと観客の反応

計測してみればさほどの長さではないのかもしれないが、リアタイ時に体感したその時間はとても長かったのを覚えている。少なくとも観客(視聴者)として、とても不安になるだけの長さがあった。その長さはそのまま、声に詰まって歌えなくなった陽和をフォローするためにRISEのメンバーとSnow Wolfのメンバーが尽力した過程だった。Snow Wolfがバックバンドを担当していたので曲を引き延ばした(ドラムは?とかはどうでも良いのです)ことにも、歌えなくなっている陽和に不安な顔を向けながらもパフォーマンスを中断せずダンスでその間を埋める他のRISEメンバーにもソロではなし得なかった葉山芸能としての力を感じる。

特にステージの前の方に進んでいくその様子はとても頼もしくあり、陽和に比べると歌唱やパフォーマンスに関して経験が浅い他のメンバーがその行動によって陽和を助けるその光景は、スポーツ未経験にもかかわらず陽和がエクストリームハーツ(競技)で経験豊富なメンバーをそのプレイで引っ張っていることと重なってRISEのメンバーの意識をより感じる事ができる。

また、単に好みの問題ではあるが、その長い時間を埋めるために観客の具体的な声援がなかったのは好きな演出の一つだった。もちろん自分も心の中では「(ひよりん...大丈夫だ(何が?)、大丈夫!頑張れ!ひよりんなら歌える!!!おもいっきり歌を聞かせてくれ!!!)」と叫んでいたのだが、映像上でも客席の一瞬のざわつきしか描かれていない。ここで具体的な観客の応援の声援が差し込まれるというライブ表現もあるとは思うのだが、今回の陽和の心境を踏まえると少しノイズになるかなと個人的には思っている。

陽和の「叫び」

「みんな大好きぃーーー!!!」

デビューはしたものの鳴かず飛ばずで事務所との契約も満了になっている自分の置かれている状況を理解し、ただ冷静にではあるが着実に目標に向かって努力する陽和がその気持ちを爆発させたシーン。 状況から考えれば観客(視聴者)に向けてのものではないのだけれど、見ている側からすればあの一瞬だけは細かい部分はどうでも良くて、陽和、ひいてはExtreme Heartsに対して心から

「うおおおおおおおおおおお!!!俺も大好きいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」

と叫びたくなるそんな瞬間だった。

最初に謝ってしまうのはなんとも陽和らしい部分でもあるんだけれど、 最後にメンバーに対して大好き!って叫んじゃうのもまた陽和を感じられて完璧すぎる"ひより劇場"だった。

おわりに

陽和の感情の発露は感謝ではなく大好きだったんだなあとしみじみ思う。 個々の事物に関する感謝はもちろん日々積み重ねられていて、みんなにそれを伝えていることは容易に想像がつく。 いわばRISEというプロジェクトの中心としての自分、葉山芸能の所長・社長としての自分、などおそらく常にRISEに対しては当事者ながらも俯瞰した視点を持つ必要があった陽和が、舞台上でRISEの一メンバーとして感極まったときにその心に浮かんで伝えたいと思った気持ちはメンバーに対する「大好き」だったんだなと思うと、なんともRISEというチームをあり方を体現しているなと感じた箇所だった。

Extreme Hearts、大好きなアニメです。