せかうな

世界で一番うなぎがうまい

Aster Reve 1st EVENT Chain of FlowerS が変えてくれたものと変わらないもの

OvertuRe:の最後のターンが大好きだ。

あの無音と暗転(TVアニメ版での演出)は、これまで歩んできた道を振り返る時間を表し、過去を原動力の一つとしてリスタートを切る表現だと勝手に解釈している。このターンは歌詞とともにOvertuRe:だけではなく Re:ステージ!そのものを端的にかつ力強く想起させる。

2022年末のあの出来事以降、自分はいつのまにかオルタンシアと伊津村陽花のことを思考から遠ざけていた。新展開は好意的に捉えていたが、同時にオルタンシアを過去のものとして思考の角に追いやってしまっていたことに気が付き、とても軽率だったことを悔いている。今回のこのライブは、そんな目を背けていた自分に対して「何を忘れているんだ」と、大きな力で引き戻してくれた小澤亜李さんの言葉や篠原侑さんのパフォーマンスによって自分にとっての特別なものとなった。


ライブ中そしてライブ後にこんな気持ちになったのは初めてかもしれない。2023年は前年の突然の降板劇に、驚き、困惑した気持ちを抱えながら過ごしてきた1年だった。ただ一方でRe:ステージ!に対してそれを理由にコンテンツから離れられるほどの関係ではもはやない(残った人の思いが強いとか離れた人の思いが弱いとかそう言いたいわけではない)ので、今までと特に変わらない関係性を維持してきたのだと思う。

何か"うまいこと"にはならなかったんだなと自分を納得させていた。納得させていたというとなにか無理やりだが、先に書いたようにフラットな気持ちで「仕方ないよね」が正直な思いだった。どうしても過去の交代を知っている身からすると、1回目は"うまくいった"ことを考えてしまうことも事実だった。一回性の奇跡を追い求めて、現状とのギャップに嘆いてしまうことはある。半年もすれば代役が決まるんだろうと楽天的に考えていた時期もあった。ただ、結論としては少なくともそれは近い未来にたどり着く場所ではないようだ。

言葉で表現するのは難しいが基本的に出されたものを受け入れるたちではある。提供されたコンテンツの内容に対して、その裏側の根拠を探ることはするが、自分の中で膨ませた妄想を拠り所に作り出した敵に向かって苛立つことはない。あまりネット上の言葉をあげつらうつもりは無いが、好き嫌いの程度論にとどまらず、コンテンツが自分の思った結論に至らなかったことに対して、断片的な情報と憶測で簡単に批判するだとか、自分が嫌いなものに直面した時に、一旦引くのではなく排除する思想を文章から感じるのは中々つらいものがあった。

なのでアスタレーヴの結成がストーリーで語られた時にはかなりの驚きはあったが、ネガティブな感情はさほど強くなかった。もちろん完全にすべてを受け入れられたわけではい。ただ、アスタレーヴはアスタレーヴとしてのスタートを切ったこと、これまでオルタンシアの伊津村紫でしかなかったキャラクターがアスタレーヴとして別の水篠苑という新しいキャラクターとの道を歩んでいくこと、その結論に至った判断の重さのようなものを受け取るにはある程度の時間はかかった。そうきたか、と。


ライブの内容は周知の通りである。もう色々な人が語っているだろう。1部2部で10曲ずつという曲数からは考えられないほど濃密で素晴らしいライブだった。アスタレーヴのお二人の輝かしい門出を祝うことを軸に据えながら、ゲストの二人が盛り上げるとてもバランスの良い構成だった。メインのアスタレーヴをたてつつも、ゲストの二人にも多くの見せ場があってとても満足している。

1部の最終曲はまさかのゲームを超えたコラボレーション相手との出会いを歌った『オン×ステージ!』だった。新しいユニットの門出としてはとても素晴らしいエールとなったのではないだろうか。そして2部の最終曲は、我らがKiRaReのOvertuRe:で終わる。始まりは自分たちのことを歌っていただけの曲が、いつの間にか他人にまで影響力を広げていくさまを見られて嬉しくてたまらない。

「あの時もし...」考えてたって 過ぎた日々はもう戻らないけど その意味は 変えていけるよきっと これからの未来次第で

今回のライブは「仕方ないよね」で停滞していた私の心を前向きな心に変化させてくれた。決して過去を忘れるわけではなく、これからのアスタレーヴとオルタンシア、そして既に発表されている新ユニット、それ以外のすべてのユニットに対する思いは変わらず、より一層強くなった日だった。